ドルフィンスルー株式会社はテレビCMも制作していますが、制作物の多くはWeb動画です。
Webなら15秒や30秒といった枠にとらわれません。尺(長さ)が自由なのがいいところです。
一方、テレビCMは、最初と最後に半秒の無音時間を設定しなければなりません。
15フレームのノンモン(non-modulation)といいます。
1秒は30フレーム。15フレは半秒です。15Fと表記されることもあります。
これは、前のテレビCMと後のテレビCMの間に1秒間の間を作るための放送素材の決まりです。
映像は15秒でも、音声は14秒で納品します。30秒CMなら音声は29秒です。
HONDAのように最初にロゴを表示するCMがある一方でTOYOTAのようにテレビCMのケツ(失礼!)にロゴを表示するCMもあります。連続してオンエアされた場合、どこからどこまでが一つのCMなのか区別するために無音なのです。サウンドロゴがあると音と音がぶつかる可能性もありますが、ノンモンがあると無音のクッションになります。
日本の視聴者は、無意識のうちに1秒の間を無音を感じ、コマーシャルとコマーシャルの境い目を認識していると言えるでしょう。15秒がおよそ85%と圧倒的に多い日本ならではの工夫です。
広告会社勤務時代にフランス「カンヌCM祭」に社を代表して参加したことがあります。カンヌCM祭の会場で世界中のCMを視聴して、日本以外は30秒が主流だったことを知りました。写真は、筆者の第47回(2000年6月)カンヌCM祭での写真です。
さて、YouTubeにはノンモンはありません。
仮に、テレビCM用に制作された放送素材をそのままYouTubeにアップロードしたら、映像と音声が同期しないというエラーが表示されるでしょう。
エラーを無視してアップロードすることは可能です。
しかし、対策としてYouTube用の映像には15フレームのノンモンを設定しないで、最初の半秒をフェードインに。最後の半秒をフェードアウトにすればエラーは表示されなくなります。
前後のノンモン15フレは、日本のテレビCM放送素材のルール。
YouTubeは、ルールなし。
YouTubeの映像は、フェードインとフェードアウトに編集するのが大人な対応だと思います。
このコラムは、湘南地域密着インフォメーションマガジン「フジマニ」に連載していました(2014年)連載をリニューアルしてホームページで公開(2018年から)しています。※本コラムのシェアやリンクはご自由にどうぞ。でも、転載や転用はお断りします。