連載コラム16 音を波形で合わせる

動画編集 リップが合わない時の対処法

カチンコ
これがカチンコ。

リップがシンクロしていない(出演者の唇の動きと声が合っていない)映像には、視聴者は違和感を覚えます。ピンマイクで録音した音声とカメラの内蔵マイクで録音した音声が同期していないケースです。同時録音の撮影現場では、写真のようなカチンコ(英語名はClapper boardで「ボールド」と呼ぶ現場もあります)を使っています。映像の音と外部収録の音を同期させるために拍子木で音を打ち、マーキングするのです。デジタルカメラでは、映像に年月日時刻までを記録できるようになり、また、音声側にも年月日時刻まで記録できるのでデジタル(数字)で音合わせができるようになりました。

昔のフィルムカメラのようにロールチェンジもなく、シーンとテイクさえわかればいいので当社での撮影では同時録音でもカチンコを使わないケースも出てきました。しかしながら、1フレ2フレの差はどうして出てしまいます。話している人とカメラに距離がある場合がそうです。微妙な音のズレが出てしまいます。音は1秒間に約340mで伝わるからです。

 

カチンコを叩いた動画素材は、目で見て確認できるので編集時間の短縮に貢献します。そこで、カチンコを使わず編集ソフトで波形で合わせる微調整の技を伝授します。

動画編集で音ズレを音の波形でピッタリ合わせる

音ズレを音の波形でピッタリ合わせる方法を動画編集ソフトの定番、プレミアエレメンツ(Adobe社)で説明しましょう。まず、音声のラインを波形で表示するボタンを押します。左端の白い三角のアイコンです。次に、カメラの音データのすぐ下にピンマイクの音声データを貼り付けます。上記の図では、ビデオ1とオーディオ1がカメラで収録した動画と音声です。ナレーションのラインにあるのがピンマイクの音声です。ピンマイクは通常、モノラルで録音したものが多いので片方のラインにしか波形がありません。音声データをコピペして左右のチャンネルを入れ替えるとステレオになります。エフェクト→「チャンネルの入れ替え」を選択します。左右の音がきちんと再生されているかスピーカーから出る左右の音をチェックしてください。

プレミアエレメンツ2023の画面です。
赤いインジケータをガイドにして波形のピークを目で見て合わせます。1フレ2フレの調整です

波形を拡大してピークを合わせます。動画を再生しながら口の動きと音がちゃんとシンクロしているかどうか再生して確認します。結果、左右2つの音レイヤーで編集作業が進行します。

動画編集にやっぱりあれば便利なカチンコ=ガイド

音には波形があり、波の形状で合わせます。カチンコを叩いた動画素材なら、マークアップされた音をガイドにして合わせます。カチンコは、映像と音声を合わせるための道具なのです。ただし、音は秒速340メートルなので、34メートル先の被写体の音声は10分の1秒ズレて録音されます。動画編集ソフトでは30分の1秒つまり、1フレームで微調整をします。もち、34メートルも離れて撮影することはめったにないでしょうけれども…。

 

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映像の色の仕組み RGB

 

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