連載コラム32

映像や動画での「白と黒」の取り扱い

映像や動画での「白と黒」の取り扱いについて書きます。

R245 G245 B245の文字が消えてなくなる
R245 G245 B245の文字が見えなくなります。

まず、私の実の体験談です。YouTubeで、あるコンテスト(2021年)の動画ライブ配信中に視聴者から以下のようなメールをいただきました。「出演者が説明しているスライドがまぶしい。何とかならないか?」というクレームです。確認するとパワーポイントのスライドが白をベースに構成されています。しかも、スライドを背景にして出演者が説明していました。上記のようなクレーム、実は以前、制作したテレビCMでもありました。

 

視聴者からの問い合わせです。ロゴマークの背景の白がまぶしく感じるという内容でした。上記のどちらも準備、制作過程では何も問題はありませんでした。考えられるのは、視聴者の環境です。たとえば、部屋を暗くしてテレビを見ている、または、ブラックモードで画面を見ているようなケースです。黒い画面から急にまっ白に切り替わると白が強く感じられるのです。

 

説明文と合わせてご覧ください。理解が深まります。

※参考の動画では、R255/G255/B255R245/G245/B245の白を

一瞬で切り替えて紹介しています。


映画館でも同じです。映画館では映写機の光源から照射された画像を見るため視聴環境は暗室でなければなりません。暗室でいきなりRGBオール255は、確かにまぶしい。視聴者の中には、暗室でYouTubeを大きなスクリーンに投影して見ている人もいます。結果、上記のようなクレームが寄せられるのです。経験を積んだ映像クリエイターならRGBでいうRGBオール255の白は使いません。

編集マシンのデフォルトで255であったとしても、わざわざ手動で245に調整するのです。白文字もRGBオール255は避けます。YouTubeのライブ配信の際には、ライブ配信スタッフが用意した画像やスライドにはRGBオール255はありませんでした。しかしながら、出演者側が用意したスライドの中にはRGB255の白画面があったのです。

 

参考の動画では、文字でR255/G255/B255とR245/G245/B245の比較をしています。

RGBオール0よりRGBオール51のほうが、ギラギラせず目にやさしく見えます。

まとめ1

RGBはRed-Green-Blueの3色の組み合わせ図
RGBはRed-Green-Blueの3色の組み合わせです。

URLなど特に目立たせる必要のない文字は、RGBオール153でいいでしょう。Webのスミ文字の場合、以下のような文字の配色が一般的です。

  • RGBオール51:やさしい黒文字
  • RGBオール102:やや薄い黒文字
  • RGBオール153:シルバーのようなグレー
  • RGBオール204:薄いグレー

まとめ2

白背景はR245/G245/B245くらいがベスト。RGBオール255にR0/G0/B0の真っ黒文字は、ギラギラしてみえる。R51/G51/B51くらいが適量。

 

ところで、私は映像ディレクターとしてこだわっているのは、

映像や動画の一番最初のカットです。

私の作品は、特に制約がない限りホワイトアウトから始まります。

まっ白から次第に絵が現れるのです。

まっ白から始まる理由の一つは、終了がたいてい白か黒でおしまいになるからです。映画の多くは、エンディングはブラックアウト。テレビCMも白か黒背景にロゴマークで終了です。映画のほとんどがブラックアウトで終わって制作スタッフ名がロールスーパーで流れます。BGMもフェードアウトすると映像作品が終了したという「暗黙のルール」です。

 

映画がそうなっているので、テレビ番組もそう。

視聴者もそう教育されているのです。

終わりが黒なら始まりは白。

種子島サ0フトリップでのスナップ
種子島サーフトリップでのスナップ。

もちろん、黒で始まっても問題はありませんが、実は、もう一つ「白」こだわる理由があるのです。私は記憶喪失になった経験があります。記憶喪失になって目覚めたらいったいどんな世界なのでしょうか?

私の体験では、まさに、ホワイトアウトからスタートしました。朝、目覚めたら海の中にいる。そんな感覚でした。まっ白な中から色彩や音がゆっくりフェードインしてきたのです。サーフトリップで訪れた種子島で波乗りをしていて、ボードを頬にぶつけて記憶がなくなりました。

真っ白な世界から目覚めると、そこは海の中。急いで浜辺にあがったのですが、自分のいる場所がどこなのかわからない。ぶつけるまでの、当日の朝から現在までの記憶がないのです。一緒にサーフトリップしていた友人と朝、空港で待ち合わせしたこと。送っておいたサーフボードを一緒にレンタカーでピックアップしたことを友人が教えてくれました。がしかし、自分には記憶がない!次の日、やっと記憶がよみがえってきて、記憶が戻りました。けれども、ボードをぶつけた瞬間だけは今も思い出せません。人間、ホントに怖かったことはあえて記憶を封印する。そんなケースもなくはないと、診察してくれた脳専門の医者が言ってました。

真っ白な世界から映像が始まる。上記のような理由で映像の始まりは、ホワイトアウトでスタートするのです。

テレビ番組や映画でもホワイトアウトで始まるケースが時々散見できます。「この編集マン、わかってるわぁ!」と思う瞬間です。


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